海外プロジェクトチームが目指す未来





日本の文具を世界に届ける。新たなマーケットの開拓

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皆さんには約1年前に発足した海外プロジェクトチームに参加してもらっています。大手文具メーカーさんは独自に海外進出をされていますが、中小メーカーの文具を扱う商社として海外に進出するのは東京エコールが初です。このプロジェクトが立ち上がる話を聞いたとき、皆さんはどう思いましたか?
国内マーケットの成熟にともない競争が激しくなっている中で、社内で新しいマーケットを開拓しようという機運が高まっているのは感じていました。ただ、正直海外に出るとは思っていなかったのが正直な気持ちです。見本市などでメーカーさんと話をしていても、海外の話が出てきたことはなかったので、海外プロジェクトが動くと聞いたときは驚きました。
私もびっくりしました。メーカーさんも驚いたようで「エコールさんが海外に出るんですか?」と驚きの問い合わせをいくつもいただきました。ただ、各メーカーさんとも「エコールがやるなら一緒にやりたい」と言ってくださっていて、とても好意的に受け止めてくれていますね。
日本の文具は海外でも評価が高いですからね。インバウンドで日本に来られた海外の方の多くが文具を購入されています。ECサイト経由ではなく実際に手に取って買いたいというお客様も多いと聞きますので、間違いなくニーズはあると考えています。
私は前職で文具店に勤務していたので海外の文具にもよく触れていたんですが、日本の文具は品質の評価が高いですね。特にインクはどの国のものと比べても一番だと言われていましたし、そのインクに合わせたボールペンの軸を作れるのも日本だけでした。
どのメーカーさんも品質に対する意欲がすばらしいです。それだけに、海外製品に負けない素晴らしい文具を作れるのに海外に届ける術がないことに、悔しい思いをされていたのかもしれません。今、日本の文具を世界に届ける仕事に就けているのは本当にうれしいですし、やる気が出てきます!
自社の販路拡大はもちろん大切ですが、それ以上に海外のお客様と日本のメーカーの両方に喜んでいただける商売をしたいですよね。いろいろなメーカーの商品をさまざまな国に届ける役割を担えるのは、東京エコールだけだと思います。
未知のビジネスを試行錯誤で切り開く

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チームが発足して約1年が経ちました。K.H君にはチームリーダーをお任せしていますが、この1年を振り返ってみてどうですか?
私は入社して20年になるのですが、まさか自分が海外に文具を売る仕事をするなんて夢にも思っていませんでした。海外に出張して商売の提案をするのは初めての経験なので、戸惑うことも少なくありません。しかし新しい事業に携われるのは本当に光栄なことですし、未知の領域に挑戦する毎日はとても新鮮ですし、刺激的だと感じています。
最近英語の勉強も始めたんですよね?
そうなんです。今は海外のバイヤーさんと商談をする際には通訳の方に入っていただいていますが、まったく聞き取れないのもよくないなと。国内の商談でも、ちょっとした空気感の違いを感じる時があるじゃないですか。英語で会話できるようになって、海外の方の空気感も感じられるようになりたいですね。N.Iさんはこの1年どうでしたか?
K.Hさんが使われる提案資料の作成に力を入れていました。現地でどのような文具が人気なのか、何が受け入れてもらえそうなのか、資料作りが難しいと感じています。国内ではお客様とお話すれば今のニーズがわかりますが、海外はまだ十分な情報が揃っていない状態ですので、手探りいろいろ試している状態です。
海外のバイヤーさんも日本の文具に触れるのが初めてのケースも多いので、向こうも手探りなんですよね。
そうなんですよね。なので、日本で売れている商品がいいとは限りませんが、まずは日本で売れているものを紹介して、そこを切り口にして独自のニーズを探っていくのがスタートになっています。最初にどの文具を紹介するのかは悩みどころですが、今は経験値を溜める時期と捉えています。
H.Tくんはチーム唯一の総務・経理からの参加ですが、この1年はどうでしたか?
海外プロジェクトではデータ管理が主な役割になっています。従来の業務でもデータをまとめる業務はしていたのですが、海外プロジェクトでは扱うデータの種類が増えたのもあり、管理が難しくなりましたね。また、どの数字がいつ必要になるのかわかりませんので、データを抽出する仕組み作りに苦労しました。しかし、その経験が国内向けの業務にも生かせていますので、自分が成長している手応えは感じますね。
H.Tくんが作ってくれているExcelのデータベースは自分には作れないので、本当に助かってます。輸出入の書類管理や入出金も全部見てくれているじゃないですか。
そうそう。確かに書類もいろいろ見ていますね。管理する書類の種類は多いですが、それらの書類は国内向けの取引に無関係ではないので、作り方や管理の方法をもっと勉強しようと思ってます。
世界に踏み出した第一歩。ノウハウを蓄積し海外事業の拡大を目指す

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各々が自分たちの領域でチャレンジを続けてくれていると思います。まだ海外プロジェクトも始まったばかりですが、これからどんな取り組みをしていこうと考えていますか?
プロジェクトがスタートしてから数カ月は成果が出ませんでしたが、半年前にようやくベトナムの企業との取引が決まりました。この契約は本当に大きな一歩だと思っています。まずはこの取引を軌道に乗せて、チームメンバーにもっと活躍してもらう仕事を作っていきたいですね。
ゆくゆくは海外事業部の規模にまで成長させたいですね。
そうですね。今は大半のメンバーが他の業務との掛け持ちですが、近い将来には専属メンバーだけで構成できるような事業にしていきたいと思います。
各メーカーさんの商品知識はかなり身についてきたと思いますので、うまく海外向けに生かしていきたいですね。恐らく海外のバイヤーさんも店舗の方も「東京エコールがどこまでやってくれるかわからない」と思っているでしょうから、お店にあった商品とお店にあった売り方を提案して、信頼を積み重ねていきたいです。
文具の使い方を知らない人向けの発信も面白そうですよね。
そうですよね。調べてみると、海外の方は日本以上にネットを使った情報収集に積極的ですので、文具の使い方をレクチャーする動画を作れると面白いかもしれません。このあたりはメーカーさんと連携しながら考えていきたいと思います。
私はこの海外プロジェクトが自立するためのサポートを続けていきたいと思っています。今は社内に海外取引のノウハウがないのでコンサルティング会社にサポートしてもらっていますが、いずれノウハウを蓄積して自走できる体制を作りたいですね。
ベトナムとの取引はノウハウを溜めるチャンスですね。
文具卸売の会社がどこも持っていないノウハウを得られるビッグチャンスですので、実際に荷物受け渡しの現場に立ち合うなどしながら吸収していくつもりです。
この海外プロジェクトは、文具業界にとっても大きなチャレンジです。中小文具メーカーのマーケットを海外に広げるだけでなく、海外で学んだものを国内で生かすこともあるでしょう。想定通りに進まずに苦労する場面もあると思いますが、楽しみながら未知を切り開いていきましょう。